第2230号「値上げ」ラッシュが世の中を変える
2023.03.15
 一昨日のお昼、食事をとるため商店街に向かった。よく行く中華料理のチェーン店「王将」のカウンターに座り、天津飯を頼んだ。「それ、ありません」と素っ気ない返事。で、気を取り直し、芙蓉蟹を頼む。卵がないんで卵料理はできませんと、当たり前のような顔をして断られた。その話を夜、居酒屋のカウンタでーで友人にすると、卵は無いんじゃなくて、値段が釣り上がって、儲けが取れないから断られたんだよと諭された。でも商売をしている以上、無いではすまない。今やお客さんより、周辺の事情の方が大切なことと知らされた。食材が少し上がったからといって、メニューから外してしまう。そこを何とかして、がんばるのが商売人だろうと思う。料理を生業(なりわい)とする人間として、最低限のモラルといささかの矜持もないのかと、本当に情けなくなってしまった。さて、世の中はモノ不足と物価の高騰が続いている。給与が上がる世の中ではないから、暮らしが日々、圧迫されつつあるのを実感している。今年に入って、コロナ禍による経済の低迷からようやく抜け出しつつはあるが、昨年後半から、堰を切ったようにあらゆる方面で、価格の引き上げが始まった。今も値上げの波はまだ収まりそうにな
い。その理由のひとつが、コロナ禍において、米ドルに対する円のレート問題。ロシアのウクライナ侵攻という有事によるドル買いとアメリカFRBの金融引き締め策が重なりドルの価格が急上昇し、昨秋にはついに1ドルが150円台となってしまった。つまり、1年の間に単純計算で35%以上輸入コストが上昇したことになりる。これは食料品や工業製品などで原材料を輸入に頼っている業種にとって企業努力だけではどうしようもないレベルであり、値上げはやむを得ないといえる。現在は1ドル=130円前後で推移しているが、それでも2021年と比較すればまだドル高であることは変わらず、先行きが見えないこともあって、今年も輸入コストが高い状態が続くものと見られる。最近の動向で目立っているのは、「物価高倒産」が引き続き高水準で推移していることであり、原料や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより、収益が維持できずに倒産に至ったケースが目立っている。ともあれ、世の中を覆う「値上げ」ラッシュの波にどう立ち向かうのか。業界として、その中の企業も含めて対応力が問われる時期を迎えている。
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第2229号 各地のイベントは業界の力の源だ
2023.03.01
 2月末の土曜日、出社してこのコラムを書いている。昼食をとるため、会社から徒歩1分の至近距離にある天神橋筋商店街に向かった。いつものことながら、どこから人が湧いてくるのかというぐらいの混みようである。休日にすることのない中年夫婦を筆頭に、韓国からのインバウンドの人達が通りを闊歩している。地方のシャッター通り商店街を見慣れている人たちにとっては、驚きの光景だろう。しかしながら、この人たち、お店の人の話によるとほとんど何も買わない、店を覗くこともしない、ひたすら歩いているのだそう。モノを買う目的の人たちは、心斎橋筋か阪急や大丸百貨店に行くという。
 コロナ禍の3年間、大阪からほとんど外に出ない暮らしが続いている。久しぶりの新幹線、車で渋滞する道路、人で溢れかえるイベント会場。どれをとっても懐かしく、やっと普通の生活が戻ってきたことを感じる。思い起こせば、東京の日本ホビーショー、名古屋のハンドクラフトフェア、ギフトショー、そしてOSAKA手づくりフェア、広島手づくりフェアと、それらのすべてが無くなってしまった時期があった。その間、各地のイベントはリアルでの開催、オンラインによる開催、リアルとオンライン2本立てでの開催の3通りで行われたが、その中でも、オフィスや自宅にいながらオンライン上で展示会や見本市に参加できる「オンライン展示会」には救われてきた。また、さまざまなイベントの延期・中止も経験したが、展示会はあくまでリアル開催であってほしいと思う。
 開催されることが当たり前のように感じてきた展示会だが、コロナ禍にあっては、その裏にある主催者の並々ならぬ労力を感じる。まして、主催が地元の業者(小売店、問屋など)なら、その思いには一入のものがある。
 わが国で、手づくり関連のイベントがはじめて開かれたのは、東京や大阪ではなく、京都だったと記憶する。新聞を紐解いても、1979年(昭和54年)に京都市勧業館(現在のみやこめっせ)で開かれ、1万人を動員したとある。そして1980年代に入って日本ホビーショーがスタート。以後50年近くの歳月が流れたが、コロナ禍を除いて途切れることなく開催されてきた。とりわけ、業界のイベントには、ハンドメイドを通して人が集うことの温かさ、楽しさ、そしてやさしさをアピールする力があり、多くの手づくりファンを魅了し続けてきた。展示会の持つパワーは業界を支えるひとつの柱となっており、その価値はこれからもますます大きなものとなるように思える。
time.png 2023.03.01 13:20 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column
第2228号 久しぶりに賑わいを取り戻した大阪の町
2023.02.15
 インバウンド(訪日外客)の日本への入国緩和を受けて、大阪には、中国、韓国を中心に旅行客が目立ち始めた。わがホームグラウンドの天神橋筋商店街も少しずつではあるが、3年前の活気を取り戻しつつある。別にここで商売をしているわけではないが、街の賑わいを見るのは心楽しいものである。水際対策が大きく緩和されたことを受けて、中国を除くインバウンドが本格的に回復し、地域別でみると、東アジアからの訪日客の回復が顕著で、とりわけ韓国、台湾、香港などからの訪日客が大きく増加しており、韓国はコロナ前の6割弱の水準まで増加しているという。東アジア以外では、米国やシンガポールなども回復が見られ、コロナ前の半分程度の水準までに戻っている。訪日外客数は今年末には2000万人を超える水準まで回復する見通しとなっている。それに加えて、円安の影響で一人当たりの旅行消費単価も増加している。訪日外国人一人当たり消費額と為替レートの関係をみると、円安が進行するほど消費額が増加する傾向にあり、新型コロナ流行前と比べて円安が進行しているため、多くの外国人にとって日本の物価はかなり割安感を感じているようだ。
 このように、今年はインバウンド消費の復調がわが国景気の回復を後押しする見通しで、訪日外客数の増加と旅行単価の上昇を勘案すると、2023年のインバウンド消費額は3兆円超となり、名目GDPを0.4%程度押し上げると試算されている。
 そんな状況の中、新型コロナの感染は4年目に入ったが、収束の気配すら見当たらない。今もなお、withコロナ(小池・東京都知事の造語)の暮らしが続いている。小欄がコロナを身近に感じたのは2019年の2月、福岡だった。この年の2月21日、「手づくりフェアin九州」の取材のため福岡に向かった。朝、出かける前、テレビで福岡にも新型コロナウィルスの感染者が出たと伝えていた。会場に着いたら、フェアどころではない。出展者も、新型コロナウイルスの話で持ち切りだった。手洗いのためのアルコール消毒液が準備され、マスクも頂戴した。しかし、会場は人もまばら、とくに学校から通達でも出たのか、土曜日なのに子ども連れは皆無に近い。この光景を目の当たりにして、はじめてコトの重大さに気づいた。
 そして今年、3年ぶりに九州に向かう。この3年、京阪神の外へ出たのは、昨年の名古屋とホビーショーが行われた東京だけで、ひたすら会社と自宅マンションの往復のみの暮らしが続いている。久しぶりに九州の空気が吸える。待ち遠しい日々が続く。
time.png 2023.02.15 13:19 | pmlink.png 固定リンク | folder.png Column

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